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『その時、歴史が動いた。』 ライトなぷち逆行ネタ
『まめ』 エミルとマルタ
『共有する』 エミル・キャスタニエ
ふたりはなかよし 分裂ネタ注意。険悪なエミルs。
ふたりはなかよし 分裂ネタ注意。やっぱり険悪なエミルs。

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『その時、歴史が動いた。』(TOS-R)


「あなたが精霊ラタトスク、ですね。」



ちょっとまて。


↓以下脳内会話
「いや待てよ。逆行ってここからかよ!
 ここからやり直しちゃっていいのかよ!?」
「・・・こ、これはもしかしたらチャンスかもしれないよ、もうひとりの僕!
 ここでアステルさんを殺さなかったらリヒターさんは優しいリヒターさんのままだしアクアは僕らを裏切らなくて済むしヴァンガードは結成されないしマルタのお父さんも優しいままだしパルマコスタで粛清は起こらないしロイドは秘密裏に行動しなくて済むしアリスもデクスもホークも死なないし異常気象も起こらないしリーガルさんも放火魔で捕まったりしないし、いいことづくめだ!」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
↑以上脳内会話


地中深くのギンヌンガ・ガップにて、朝焼け色の境界に、二人のヒトと、ひとつの精霊。
精霊の方は只今お取り込み中のようである。二人のヒトの赤い方。リヒターが少し険しい顔をした。
「・・・聞いているのか?」


↓以下脳内会話
「・・・どうして黙るの?もうひとりの僕も、そう思うよね?」
「・・・・・・・・・・。
 畜生!
 どうせ俺が全ての元凶だよ!諸悪の根源だよ!」
「うわぁ!?僕そんなつもりで言ったんじゃないよ!?」
「言ったようなもんだろうが!」
↑以上脳内会話


「あのー。話し合いませんかー?」
困惑し始めたアステルの声に、ようやく精霊の方もぎこちなく反応を返した。こういう風景、アステルには見覚えがある。授業中、上の空を指摘された生徒の様子とそっくりだ。
「あ・・・ああ。聞こえている。」
本当かよ。
とは、リヒターの顔に書いてあった言葉だ。


↓以下脳内会話
「もう、ここでOKしちゃおうよ。そうすれば全部丸く収まるんだからさ。」
「・・・いや、まて。」
「?」
「本当にそれでいいのか?このままいくと俺達は地上に出ないし、マルタやロイドたちと出会わないことになるぜ?」
「そ、それはそれで寂し・・・いやいや、アステルさんたちの命や、リヒターさんたちの平和には代えられないよ!」
「それに、俺達が地上に出ないことで、何かやばい方向に変わる歴史とか本当に無いのか?」
「それは・・・・・・。
 うん。思い当たらないけど。」
「・・・・・・・・(泣)」
「・・・・・・。
 あっ。」
「・・・なんだ?何かあったか?
 言ってみろ。」
「あの冒険のあと僕たちがマナを切り離さないと、ファンタジアの世界に繋がらないよ!」
「・・・・・・。」
「でもそれも今からここでやっちゃえば大丈夫だよね。
 ほら。何の問題も無いよ!」
「・・・・・。」
↑以上脳内会話


「・・・、精霊ラタトスク・・・・?」
「・・・泣いてるのか・・・?」
「泣いてない!
 マナの偏りは正してやるからもう帰れ!」


そして帰路につく二人+1。
「なんか物凄くあっさりと終わっちゃったね。用件を話してもいないのに。」
「なんか、さっきのラタトスク様、変だったわね・・・。」
「絶対泣いてたよね。」
「・・・精霊にも色々とあるのだろう。多分。」
「一応、ラタトスク様の名誉のために言っておくけど、いつもはああじゃないのよ、多分!」
「うーん。折角幻の精霊に会えたんだから、いろいろ話聞きたかったな・・・。」


↓以下(略
「・・・・。もう帰しちゃうの?」
「・・・なんだよ。帰すと何かまずいのか?」
「・・・折角リヒターさん達が来てくれたんだから、色々話したかったのに・・・。」
「知るか!」






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『まめ』(TOS-R)


宿を取り、装備を脱いでくつろぎながら、ふと自分の手のひらを見て、エミルは思わずうわぁ、と声を上げた。
「どうしたの?」
興味津々にマルタがそれを覗き込む。
その距離が、なんというか、近すぎるのはご愛嬌だろうか。
それはともかく、覗き込んだマルタは、本人よりも痛そうな顔をする。
「痛そう…。
 回復魔法かけてあげるね。」
「ありがとう、マルタ。」
エミルの手のひらには、たくさんのマメができていた。潰れているものも少なからずある。
その手をマルタは包み込んで(包み込む必要はあったのだろうか)、呪文を唱え、マナを練る。


ルインでもパルマコスタでも、マルタと出会うまで剣を握ることはほとんどなかった。ラタトスクとの契約で戦う技術は手に入れたけれど、まだエミル本人の身体はそれに追いつこうとしている最中だ。


「ねえ、マルタ。
 僕は、ちゃんと強くなってるかな?」
呪文を終えたマルタに問う。
滲むような痛みが消えていく。
マルタはいつものようにまぶしい笑顔で、当たり前だよ!、と包むその手を握り締めた。


強くなるのは、守るため。
これからも一緒に頑張ろう。そんな未来を信じて疑わない、強いマルタの言葉に、エミルも頷いて応えた。


痛みの引いたエミルの右手は、傷を負いながら、少しずつ、剣を握る手に変化している。





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『共有する』(TOS-R)








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ふたりはなかよし』(TOS-R)



あいつの右腕に力が加わる僅かなモーションが見えて、続けざまに叩きつけられた水塊に目を閉じた。
「・・・。」
びしゃびしゃの顔。目をこじ開けてみると、水が目に這入って視界が濁る。


濁った先にあいつが居た。


沁みる目の痛みやばたばたと水の滴りに後押しされて、俺は
あいつの顔に
平手を食らわす。畜生。俺も痛いじゃねぇか。
畜生。小賢しい。





僕たちの憤りは、言葉で消化するのは難しい。
ただぶつけ合うことで晴れることもある。より深みにはまっていくことも。
痛い。
許せない。
繰り出した右の拳を、あいつは待ち受けたように手首を掴んで食い止めて、そのままあらぬ方向へ力を加える。
僕はそれを許さず、その前に腹を蹴りつけた。





背中の方向へかかる力を踏みとどめて右腕を解放し、その足を掴んで引きずり倒す。
鍛えられたバネですぐに上身を起こし、圧し掛かる形になった俺の顔を狙う、拳。


受身はヤメだ。
かわしもしないでこめかみを狙う。
ばち、ばち、と繋がらない視界を無理に繋げて、畜生、痛てぇ、なにもかも!





「二度と俺の前に姿を現すな!」
「それができたらとうにやってるよ!」


せめて、目が届かない場所で存在していられるなら。最低限の譲歩は出来るのに、それも許されていない。
アンバランスなのに、均衡を崩すことは許されない。
矛盾を消化する術は与えられない。


この嫌悪を晴らす最後の手段である刃を、お互いに手に取ってはいるけれど、その鞘を抜くためには、全てを巻き添えにする覚悟が必要だ。


そんなもの、あるはずがない。


「てめぇなんざ、もう用済みなんだよ!消えちまえ!」
「僕が?どうして?君が消えた方がいいんじゃないの!」


ぶつけ合った憎悪が、反響して自分に返ってくる。
湧き上がる激情に流されながら、根っこで巡るループは同じ。


どうしてこうなってしまったのか。
何故こんなにも○△※いのか。
どうすれば、(こいつ以外が存在している)世界を大切にしたまま、こいつを消してしまえるのか!


死に至らない苦痛を与えて与えられて(結果的に共有しながら)、すぐにわだかまるどす黒いものを散らす。最低の譲歩。






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ふたりはなかよし』(TOS-R)




僕が右手を差し伸べると、あいつはいぶかしむ顔をした。
往復する視線は、僕が本当にこの手の持ち主なのかどうかを確かめている。


「そろそろ限界なんだよ。マルタ達だって。」
顔を合わせる度に生傷を作りあう僕達に、マルタ達が頭を悩ませないはずもない。
僕達を説得しようとして、でも上手くいかなくて落ち込む姿を見るのは、不本意だ。非常に。


「俺達だって、とっくの昔に限界だ。」
あいつが言うのも、その通り。押さえ込むのに失敗してついに殴り合いを始めた時。つまりもう結構昔に、臨界点は既に突破している。
それ以降も沈静化の兆しも見えずに、いつか、うっかり理性のタガを外して最悪を招く可能性を感じている最近。
僕が差し伸べた手も、賭けだ。
転機となるのか、拍車をかけてしまうのか。


「壊れるぜ。俺達。」
「そうかもしれない。」


とっくの昔に、壊れたものだとばかり思っていたけど。


僕を睨む鋭い眼光も、すっかり慣れてしまった。昔はそういうものに怯えていたものだけど、今では、それに触発されて沸き立つものが、僕の中にはある。
「僕は君なんかよりも、マルタたちを選ぶよ。君が壊れようが僕が壊れようが・・・。
 いや、僕なら耐え切ってみせる。君なんかとは違ってね。」
「・・・・。」


この連鎖を断ち切ったとき、僕達は解放されるのか、それとも破片が刺さるのか。
腐っても僕達は同じ存在。何を選ぶかなんて、そんなもの、同じに決まっている。
殴りあうためでも、駆け引きのためでもなく、手を取り合う僕ら。
その掌に不自然な力が働きそうになるのを、必死にこらえて。


「忘れるな。俺はテメーが大ッ嫌いだ。」
「そんな当たり前のこと、いちいち言ってどうするつもり?」


あぁ、掌に体温。こういう状況、嫌いじゃない。
だけどその不自然さに吐き気がする。





○△※に雁字搦めの俺達を、更に縛る新しい約束。
息が詰まりそうだ。
でも、これで、せめてマルタ達の前だけでも、俺達は憎しみを演じずに済む。








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