・『no title』 エミル(赤)と緑 ・『叫叫叫』 エミル視点 ・『de-formity』 パロディ注意 帰る
『no title』(TOS-R) 『些事』 思い出せ。 忘れるな。 『俺達』は一人だということを。 そう。元来『俺達』は『俺』だった。 『ラタトスク』であることを忘れた『エミル』だって。それもお前だけを冠するものではなかったのだ。 それなのに、いつからか『俺達』は少しずつ離れていった。 俺はお前を卑下し、お前は俺から心を閉ざした。 そして、『俺』には、あたかも二人であるかの如く、離れて、壁が出来てしまったのだ。 元は一つだった『俺達』だが、一つだった頃から背反する存在だったからこそ、この結果は必然だったのかもしれないが。 だが、忘れてはいけない。 何度忘れても、思い出さなければならない。 『俺達』は一人だということを。 必要ならば俺はお前を封じるし、必要ないならば俺は息を殺す。 それが当然で、それが当たり前のこと。 この旅で俺達はそれを学んだ。 心を閉ざしたお前に、もう俺の言葉も、記憶も伝わらないが、だがこれだけは忘れてはいけない。 お前の優しさも俺の強さも、『俺達』の一部だということ。 絶対で、逃れられない理。 離れすぎてしまったために、すぐに見失ってしまうけれど。 それを知っているなら、お前が恐れるものなど何もないのだ。 ↑ ----------------------------------------------------------- 『叫叫叫』(TOS-R) 困った。 足場の悪い崖上で戦っていて、ドジを踏んで落っこちた。 やっと自分でなんとか戦えるようになったっていうのに、これじゃああまりにも情けない。(もう一人の僕の嘲笑が聞こえるようだ。) それにしても、あの高さから落ちたっていうのに、もしかしたらと思っていたけど僕の身体は結構頑丈に出来てるみたいだ。 だけど、どうしよう。困った、なぁ。 見上げた空にそびえている岩壁に、仲間の姿はない。 不甲斐ない僕を捜すために、遠回りだけど安全な道を周って降りている最中だから。 地面に背中を預けて、星の重力に逆らいもしないで、まるで死体みたいに頼りない僕は、身体を起こして皆と合流するどころじゃないくらいに、困っていた。 どこかマズい場所をぶつけたのかな。 呼吸の仕方を、忘れてしまった。 だから声も出ない。 口を開いて空気を取り込もうとしても、喉の筋肉が引き攣るだけ。 そんなことをもうずっと試しているのに、吸い込むことも、吐き出すこともできない。 呼吸ができないでいる僕は、それでも息苦しくはないけれど、肺にずっしりと違和感がのしかかって、出口を無くしてわだかまっている。 困った、なぁ・・・。 こんな時、どうすればいいんだろう。 ・・・声も無くして、僕はこれからどうすれば。 「エミルー! 何処ー!?大丈夫ー!?」 迎えが来た。 僕はここだよ。 そんな言葉が身体を駆け抜けたとき、なにかつっかえていたものがごろっと剥がれ落ちたような気がして、 今なら。 「マ・・・!!!ッ!!!!」 「エミル!?」 声と入れ替わりに這入りこんで来た空気を体が拒絶して、身体をくの字に曲げてうずくまるように、僕は激しくむせ返った。 急に息苦しくて、視界が涙で滲む。 ひどく心配した悲鳴のような声が、掻き分けながら僕に向かう。 あぁ、悲しませてしまった。 視界を塞ぐ涙を手甲に預けて、暴れる肺を押さえつけながら、安心させるための言葉を紡がなければと焦れてその片隅で、僕は安堵してる。 さて、途方にくれた僕が拠り所のように見上げ続けたあの場所に戻らないと。 ↑ ----------------------------------------------------------- ※注意書き※ このお話は筆者の性へk趣向が如実に現れたパロディです。 拒絶反応が出そうになったら速やかにお戻りください。 赤エミと緑エミ分裂というか、むしろ双子設定です。 学パロというにはあまりにも不完全燃焼な現代パロもどきになっております。 ちなみに筆者は医学分野はドのつく素人です。 ↓大丈夫な方は↓ 『de-formity』(TOS-Rパロディ) 『奇形児』 僕がお風呂から上がって部屋へ戻ると、ラタトスクは最後に見たポーズのまま、相変わらず山積みの漫画本を読んでいた。小さく積もった完読済の山が大きくなっていなかったら、僕は時間の経過を疑っていたに違いない。 「ねえ、ラタトスク。」 一度で返事が返れば御の字。 結局ラタトスクが生返事をしたのは二回目に名前を呼んだ時だ。首も目線も動かしやしない。 「手伝って。」 そのキーワードで、ラタトスクは非常に怪訝な顔で僕を振り返った。見分けがつかないとよく会う人々に言われるくらい、僕と同じ顔。 僕とラタトスクはいわゆる一卵性双生児というヤツで、それでもそれほどは似ない兄弟もいるというのに、僕たちの場合はよくもまあ、といったところ。だけど、僕たちを見分けるのは実はとても簡単だ。 目の色もそうだし、僕はラタトスクみたいなおっかない顔はしない(ラタトスクも僕みたいな笑い方はしない)。それだけじゃなくて、もっと大きな違いもあるけど。 僕の左手に握られたものを見て、ラタトスクは眉間に皺を寄せた。呆れている。 「・・・不器用なヤツだ。」 「ご、ごめん・・・。」 「あやまるな。」 本を伏せて、身体を起こすラタトスク。 僕たちは一蓮托生というヤツだから、ラタトスクの言うとおり、僕が謝ったって逆に謝られたほうが困るってやつだ。 僕は、こういうときは「ありがとう」って言えばいいんだよ、ってマルタに教えてもらったのを思い出してそれを言ってみる。 今度はラタトスクは無言で、僕の左手から僕の右腕を取り去った。 僕たちの母親のお腹には手術痕がある。僕たちが生まれた時にできたものだ。 僕たちが産まれるためには、お母さんはお腹を開かなくてはならなかった。 お腹の中にいた僕たちが、僕は右肩から、ラタトスクは左肩からくっついていたからだ。 そうやって生後いくらかの間、僕とラタトスクは繋がったままで、当時の写真が今も病院に資料として保存されている(見せてもらったことがある。目に入ったモザイクが滑稽だった。)けれど、手術をして僕たちは切り離された。 そういう経緯で、僕には右腕が、ラタトスクには左腕がない。それが、僕たちを見分ける一番のポイントだ。 それも今は過去形にしてもいいのかもしれない。 頭がいいヒトはすごいなあと思うのは、こんなとき。今や僕たちには、着脱可能なオーダーメイドの失っていた腕が存在する。 お風呂でうっかり外してしまって、今ラタトスクに装着を手伝ってもらっているヤツだ。 初めから持っていなかったっていうのに、僕の利き腕は右腕なんだろう。素手の僕はラタトスクより不器用だ。こういうヘマをよくやってしまう。(そんなことは関係ない。お前がボーっとしてるのが悪い、とはラタトスクの談だ。) 「あんまり落とすんじゃねーぞ。一応精密機械なんだからな。」 「うん。わかってはいるんだけど・・・。でも、これもそろそろ換え時かな。サイズが合わなくなってきた感じがしない?」 「・・・成長期だからな。」 「今度、アステル先生に言ってみようか。」 「言わなくても向こうから言い出すんじゃねーか?」 髪を乾かすのも片手だと不便で、左の髪にばかりタオルを当てながら、僕は右肩の手術痕と僕の右腕と、それと同モデルのラタトスクの左腕を見る。 僕たちは繋がっていたんだなぁ、って、人生何度目かわからない感想。 「ほら。支えてろ。」 手を離したから、タオルがポロリと落ちた。 ラタトスクの非常にぎこちない左手の動きを眺めているうちに装着が終わって、じゃあな、と軽い言葉でラタトスクは漫画本の山に戻った。 僕はこれからそれを尻目に、学校の課題を始めるんだろう。 何の因果か、僕たちは、足して2で割ったくらいが丁度いい。 簡易メニューへ↑ talesメニューへ戻る