・『紅い影』 父親視点 ・『熱い刃に薄い口付け』 ジューダス視点 ・『おめでとう!仮面ストーカーは幽霊ストーカーに進化した!』 捏造注意
『紅い影』(TOD2) 仲間達と手を取り合って歩いた道は。 裏切りと犠牲と、足跡のように連なっている。 栄光の光に、落ちる影は赤い。 傷つきながら、叫びながら、 俺達が望んだものは。俺達が願ったものは。 「父さんっ!」 空が青く煌いていて。 笑う声が天まで届くような。 「父さん! 俺、父さんみたいな英雄になりたい!」 この子の望む『英雄』が、必要とされないような、世界。 ↑ --------------------------------------------------------------------------------- 『熱い刃に薄い口付け』(TOD2) それはかつて、誰かを守るための剣であり、同時に誰かを傷つけるための刃だった。 逆に言えば、守るべきものも持たずにその切っ先を振るうことなどありえない。僕は狂戦士(ベルセルク)などではないのだから。 馴染みの深い名を呼べば、馴染みの深い声が返ってくる。 僕にとってそれは当たり前のこと。だが、その当たり前のことに、僕は違和感を覚えずにいられない。 意識を埋め尽くすような冷たさも、赤の流れ出る傷の熱さも、失ってしまったというのに、ここで生来の相棒の名を呼び、その柄を握る『これ』は、僕だというのだ。 ああ。それでも。 本当の本当に、この僕に。未練なんてものがなかったなら、命じられようと屠られようと、刃を取ることなどなかっただろうに。 (いみじくも死して尚、僕は剣を振るい続ける。) (気が違えたのでも堕ちたのでもなく、) (ただ、僕は。) 紅く光る刃に僕は誓おう。 戦い続けることを。 守り続けることを。 ↑ --------------------------------------------------------------------------------- 『おめでとう!仮面ストーカーは幽霊ストーカーに進化した!』(TOD2) 「それでさ、ロニ。聞いてよ、そしたら父さん、なんて言ったと思う?」 「カーイール。手が止まってるぞ。 ほら。さっさとやっちまわねぇと、晩メシ食いっぱぐれちまうぞ。」 「…ちぇー。」 じわじわと暑さが沁みるクレスタの町に、カコン、と軽い音が響き渡る。 今、ロニとカイルは薪割りの真っ最中だ。ルーティから直々に役割を仰せつかったのだからやる他にない。 単調だが力のいる仕事。元々は家父であるスタンが受け持つことが多いが、当のスタンは今抜けた床の穴の補修作業に付きっきりだ。 「ねぇ、確かさ、雨漏りする天井も直さなきゃって話だったよね。 床も腐っちゃって、いつまた抜けちゃうかわかんないよ。 だったら、建て直した方がいいよ、絶対。」 「ウチにそんな余裕あると思うか?」 「…それは… …?」 「?どうした?」 ふ、とカイルが言葉を止め、視線を流した。 斧を下ろし、ロニはその視線を追うが、そこはなんの変哲もないクレスタの風景だ。 「うーんと、誰かがこっちを見てたような気がしたんだけど…」 「誰か、ねぇ…。 って、そっちには何もねぇじゃねえか。」 「…だよね。」 「ベアとかじゃねぇの?」 「そうかな?一瞬で消えちゃったよ? ふっ、って。」 「よ、よせよ、そんなお、お化けみたいな言い方はよ…」 「・・・。じゃあ、気のせいかもね。」 「当たり前だろ。変な事言うなよ・・・。」 「うん。ごめん。」 「・・・・。」 その影は静かに目を伏せた。若干気まずそうに。 木立を背後に希薄な姿を揺らめかせ、目の色を感情のようにくるくると変えながら、口元に浮かぶのは自嘲の笑み。 ああ、全く。なんて未練がましいことだろう。 あれから一体何年たった? けれどこの何もない辺鄙な田舎で、アホみたいに呑気なあいつらの笑顔を見ていると、何故か胸中に渦巻くわだかまりが解けて、ストンと軽いものが腑に落ちてくるのだ。 思い返すだけで口元を飾る笑みから嘲りの色が消えていく。 ずっとこうしているわけじゃない。 だから、もう少しこのまま・・・ 「やっぱり! 見つけた!」 何。 笑みも心に湧いた柔らかさも、クレスタの町並み、緑の景色も、全部吹っ飛ばしたのは、よく知った誰かさんによく似た少年の顔と、新しい発見をしたような無邪気な声。 くりくりとした大きな青い目に映る自分に、懐かしさが二重に込み上げて、言葉も、冷静な思考力も、仄かに抱いていた孤独感も塗りつぶして消し去ってしまった。 簡易メニューへ↑ talesメニューへ戻る