『ネットワーク』 赤毛ふたり 帰る
『ネットワーク』(TOA) ―アッシュ― ―なあ、アッシュ― ―おーい― ―聞いてんのかー?― う ざ い ―静かにしやがれ!!!― ―お、やっと返事してくれたな― ―そうじゃねぇだろ!静かにしろっていってんだ、この屑が!― 思わず声に出して怒鳴りつけそうになるのを何とかこらえる。 そんなことをしてしまったら間違いなく不審人物だ。 ―てめぇは黙って寝てろ!― ―んなこと言ったって、眠くないんだからしょうがねーじゃん。 お前と違って、俺、なにもしてないんだからさ― ―だからと言って、俺で暇を潰すんじゃねぇ!― ルークの自由を奪って、縛り付けているのはアッシュの方。 それに弊害がないわけでもない。例えば、これ。 思考は駄々漏れで、ルークにはプライバシーも何もない。 しかし、アッシュの方もルークの思考を四六時中傍聴していなければならない。 (畜生、精神攻撃か?) 自分の意志どおりに動くものは何もない。ただアッシュの目を通して見ることしか出来ないルークは、ヒマなんだろう。 特に夜、宿屋でひとりになったとき、ルークは喧しくなる。 ―てめぇ、寂しいのか?― 少しの嘲りを混ぜて問えば、ルークは面白いくらいに静まった。 ただし、僅かの間。 ―だ、誰もそんなこと言ってないだろ!勝手なこと言ってんなよ― (・・・うぜぇ・・・) だからてめぇの思考は駄々漏れだって言ってるだろうが、この屑。 重い重い溜息を吐いて。 ―俺はもう寝る。静かにしてろよ、レプリカ。― なにもかも打ち切って、そう宣言してしまえば、ルークは静かになる。ならざるを得ない。 かすかな頭痛を覚えて、アッシュは眉間に皺を寄せた。 その甘さに虫唾が走る。 無力で幼くて、弱くて弱くて。 遠い何かがうずくのを認めたくなくて、夢の中へと逃げ込む、夜。 ↑ +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 戻る