逃げた?
否、引き返した先に立ち向かうべきモノがあったのだ。




「リチル君はシャワー浴びるの好きだよね。」
そういうアイツは動物を入浴させるのが好きなようだった。
そしてその乾燥が終わった後で、必ずといっていいほど対象を抱きしめて、入浴したての毛皮を堪能する。
別にシャワーが好きなわけじゃない。ただずっとそれが習慣だったし、それと毛皮の所為で埃っぽくなりやすいから、洗わないと落ち着かないだけだ。
それでほぼ毎日俺はシャワー室の前で自己主張しては、その後の洗礼を受けている。
はっきり言おう。過度のスキンシップは不快だ。
第一、最近・・・いや、今まで?
そんな風に他人にベタベタと触れられた記憶はない。
遠慮はしないが気遣う手つきで、この世の至福みたいな顔をして(しかも、あのあり得ない造形をした顔で)。
そして、俺の白さを褒めるのだ。
(こんなに醜いのに)

そんな夢を見た。土の上で目覚める。
『リチル』なんて言葉は自分の名前じゃないが、現実でも、夢でもエデンやその研究仲間たちは自分を指してそう呼ぶ。
本当の名前で呼ばれるほうが余程違和感だ。(それもどうなのかと自分で思うが・・・)
さて。
起き上がって、ふるふると身体を震わせてみる。(最近覚えた動作だった。)
土の上で寝た所為で、余計に埃っぽく感じる。人間とは汗腺のつくりが違うらしく、汗で体がべたつくということはないのだが。
・・・ああ、だからあんな夢を見たのか。

全身に不快感が絡みつく。お腹が空いたし身体もだるい。
でもまだ走れそうだ。








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