「・・・先生、引率者失格ね。

・・・魔バスに帰りましょう。これ以上バラバラになったら、かなわないわ。」

疲労の色濃い、担任の顔を一度だけちらりと見て、ジュリアは関心を先程二人が消えていった・・・・・黒い、渦へと向ける。

考え事をするときによくやる、顎に手を添えるポーズをして、2,30秒。

じっと見つめた後、その渦へと歩を進めた。



同じだ。



皆がいなくなって、取り残されて、追うようにして飛び込んだ、あの渦と、同じだ。

違いは、これが死のプレーンへと続いていることぐらいだろうか。

外見上の違いはまったくもって見られない。

どのような構造になっているのかはわからない。

ただ、それは、自らの持つ無限大の重みによって、光すら惹きつける、あの死した星の成れの果てを彷彿とさせた。

・・・それにしても。

なんとなく眠くなって、ジュリアは長く深い息を吐く。

「ジュリア」

シードルの声が聞こえたのに前後して、ジュリアの視界が大きくぶれた。

少し、視線を上げると上下逆さまなシードルが目に映る。

「何やってるの。」

「・・・・離せ。」

シードルはため息を吐いて、ジュリアの襟元から手を離した。

それから改めて振り返る。気がつけば、もう二人しかいない。

「置いて行かれるよ?」

「薄情なやつらだ。」

「違うよ。僕が引き受けたんだ。」

君のお守りをね。そう付け加えてシードルはポシェットに手を突っ込んで、かちゃかちゃと軽い金属の音を立てる。

たぶん、鞄の中でガニック金貨でもいじっているのだろう。

シードルの器用な指先は疲れを知らず、じっとしていることがあまりない。

「・・・なあ?」

「なに?」

「・・・・あれ、どう思う?」

「?」

ジュリアの視線の先を、シードルも追った。

「・・・そうだね・・・。」

目を細めてみるシードルの横顔を、ジュリアは真剣さと、どうでもよさ半々な様子で見つめる。

「・・・なんてことない。それが繋ぐ場所は・・・・・・

これから僕らが行く場所さ。」

「・・・違いない。」

ジュリアは笑う。シードルはにこりともせずに、来た道を振り返った。

「早く行こうよ。皆、待ってるよ?」

「そうだな。」

ジュリアの意思を汲んで、シードルはお先に、と歩き出した。ゆっくりと遠ざかる後姿に、ジュリアはもう一度、笑いかけた。

「もう置いて行かれるのはごめんだからな。」

シードルは振り返ることも、立ち止まることもしない。

言外に急かされているように感じて、ジュリアはようやく歩き出した。











+添え言+

・・・ポシェットって、何だっけ(マテ)
本で読んだけど、宇宙って、大きさが永遠に広がり続けるものと、段々縮んでいくものと、
永続的に変わらないものの3種類あるそうですね。
関係ないですが。ええ。関係ないけど・・・・。・・・・。






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