空には、雲ひとつなかった。



「こんな所にいたのね」

静寂を、彼女の声が破いた。カベルネはその聞き覚えのある声にはっとして、心底驚いたように振り返る。

「ヴァニラ・・・!!ガナッシュも!!」

並んで立つ、二人の、よく似た姉弟。今は姉のほうが少し、悲しそうな顔をしている。

彼女の目は、カベルネのその先の、小さな墓碑に向けられていた。ヴァニラは、地面を一歩一歩、踏みしめるようにしてその元へ辿り着く。

「シャルドネ・・・」

墓石に刻まれた、見慣れたスペルを辿る。

彼の遺言どおり、この丘からは、シブストの城がよく見えた。ここで彼は、彼女を・・・・・

彼が愛した、恋人を、彼を死なせた、狂気を・・

見守って、いたのだろう。

今はもう、そこにはいないけれど。ヴァニラは、いないけれど、シャルドネはまだ、ここにいる。



たくさんの命を、虫けらのように潰した。

その中に貴方がいるなんて、知らなかった。

・・・考えようとも、しなかった。



ガナッシュは静かに、手向けの花を差し出す。

真っ白な花。



眠ってください、安らかに。

もう、あんなことは起こらない。

繰り返さない、から。

だから、どうか、安らかに。

私が、そこへ行くまで。



背後で小さな嗚咽が聞こえた。

ヴァニラもそこで静かに泣く。

















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