「お疲れ様。」

時計をちらり、と見て、手の中のスケッチブックを閉じたあと、シードルはそう言った。

「おつかれ〜。」

言いながらシグマは大きく伸びをする。

「動かないでいるのって、結構大変だね〜。もう、体がっちがち。」

「ストレッチでもしたらいいかもね・・・。散らかってそんなにスペース無いけど。」

「うん・・・・。私も、片付けた方がいいと思うよ?」

「・・・検討しておくよ。」

「・・・・。」

そんな気、ないなと思いながら、シグマは微笑するシードルを見る。

とはいっても、シードルの部屋についてはきちんと片付けられていたのを知っている。

・・・・それは以前勝手にこの家の中を歩き回った際に見たことなので、きっと普段の状況そのままだと思っていいと思う。

というか、まだシードルはそのことを知らないかもしれない。

(っていうか絶対知らないよね!!)

「・・・・な、何?」

にやり、と笑うシグマにシードルはぎょっとして身を一歩引いた。

「べ、別に。なんでもないけど?」

「・・・・。」

怪訝な表情でシグマを見つつ、シードルは袋を取り出した。

いわゆる給料袋というヤツだ。

「お、さんきゅー♪」

シードルからそれを受け取って、シグマは嬉しそうに顔を綻ばせる。

こういう無邪気な表情を見ると、さっきのにやり笑いが余計に怪しく思えてくるのだが。

シードルはなんとなく言うのをやめておく。

「それにしてもさあ、こう言うのもなんだけど・・・・。

僕たち、子どもがこんなやり取りする光景って、なんだか生々しいよね・・・」

「そう? そんなこと考えなくてもいいじゃない。別に。」

「でも、手渡し以外にないからね。」

「うん。私、口座とか持ってないもん。」

子どもだから。

そう言って給料袋をポシェットに仕舞う。

「君って、自立する為にお金がいるんだっけ?」

「そうよ?」

「じゃあ、相当お金がいるわけだ?」

「そうなのよね・・・。」

「口座もないのに、それだけのお金を貯めなきゃいけないんだよね・・・・。」

「ついでに言えば、おとーさんにもバレないようにね。」

「気になったんだけどさぁ・・・。」

「?」

「いや、言いたくなかったら言わなくてもいいけど・・・。

どうやって貯めてるの?お金。」

結構小銭とか、たまると厄介だよね。そう付け加えて、自然、シードルはシグマのポシェットを見る。

「そりゃあもう、地道に。」

シグマは朗らかに笑った。

「ぶたさんの貯金箱に入れてさ。」

「・・・?」

「いっぱいになったら、また新しいのに入れるの。」

「・・・それは・・・・。確かに地道だけど・・・・・。

それより、紙幣に換金してもらった方がよくないかな。

それじゃあ、重いし・・・・目立つよ?」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「や、やだなぁ。冗談だよ。冗談。

言ってみただけっ!!」

照れ笑いにも見えるシグマの表情を、何も言わずにシードルは観察している。

(本当のことだけど・・・・。)

内心では、シグマはかなり凹んでいる。

けれど言うまでもなく、シードルにはそれがお見通しだったりするのだった。













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・独り言・

日記の方に載せようと思ったけど、割と長いのでこっちに載せてみた。
基準は・・・・特にないですが・・・・(汗)






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