シードルは1人黙々とマジックドールを組み立てていた。

果汁を絞って、ジェムをはめ込み、ガットをつけてパーツを組む。

シードルは手先が器用なので、こういったちまちまとした作業が得意だ。

それだけでなく、そういった作業は好きでもあるので、こんな風に暇つぶしがてらマジックドールを作ったりする。

何か目的があって作るのではない。マジックドールは魔法の練習相手になるので、必要のある人に譲渡することもある。ただし、シードル自身が使用することはなく、入魂することもない。

使い手が現れなければそのまま解体される程度のものだ。

カシスには地味な趣味だと言われるが、趣味が地味だろうが派手だろうがそれで他人に迷惑をかけるわけでもなく、誰かにとやかく言われる筋合いもないので放っておく。

(こんなもんかな・・・・)

シードルは組み上がったマジックドールを持ち上げてみる。

今回はちょっと奮発してユーレロシェルを使ってみた。ユーレロラムが持つベルを加工して作られた至高の最高級品だ。ただし、奮発といっても元々学校の備品だが。

それから、シェルだけでなくジェムやガット、果実も高品質だ。

性能には自信がある。そのかわり、入魂する人の能力もそれ相応のものが要求される。

(これに見合った能力の持ち主がそうそういるものだろうか)

シードルは考えた。少なくとも下級生には無理だろう。

そんなことを思っていた、その時。

ぴくり、とマジックドールが動いた。

(えっ!?)

思わずマジックドールから手を放してしまうシードル。

単純な自由落下をするはずのそれは、何故か机の上で華麗な着地を決める。

「く・・・・くくく・・・・・」

そして笑う。シードルはドン引きだ。

「は・・・・はははは!ついにこの時が来た!1000年の歳月を経!!私は蘇った!

今こそ念願を・・・この世に混沌をもたらし、

そして私が支配する!」

高らかに言い放つマジックドール。機会音でもなく流暢な言葉で。・・・・なんとも安っぽいセリフを。

そして、作り物の空虚な目がシードルを、見る。

「私を蘇らせたのはお前か?褒美に・・・・全ての人間に先駆け、本当の恐怖を刻み付けてやろう!!

覚悟し」

がしゃりとマジックドールは机の上に倒れた。

シードルがマジックドールを構成するパーツを外し、そこから魂がもれたのだ。

「・・・・・・・・・。」

時計すらない部屋は、沈んでしまいそうなくらいの静寂に包まれる。



シードルは何も見なかったことにした。











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