『ずっと、ずっと!!』(MV)


助けて欲しいって、叫び続けてた。

愚鈍で無知といって差し支えなかったあの頃の僕がようやく「予感」をした時(そのときは既に手遅れだった!)から、ずっと。
初めの叫びはまだ光を含んでいた。その「光」という物には一応、曖昧に定義づけられた名前がいくつかついているけれど、それらのどれもが白々しくて僕には失笑するしかない。
敢えて一番ふさわしいと思えるものを挙げるなら、「浅ましい願望」だろうか? もう一度言う。僕がコトの重さに気付いたとき、既にそれは手遅れだったのだ! 時間の経過は、その光をどんどん奪っていって。
「助けて欲しい」なんて、誰が助けてくれるのか知れない。でも誰かに向けられたその叫びから身を切るような懇願すら消え失せた時、そこに残ったのは暗闇だ。
深いのか浅いのか広いのか狭いのかわからない。
僕の中にぽっかりと不知(アンノウン)が開いて。
そこから聞こえる悲鳴(タスケテのこえ)すら、僕自身とは別のものになってしまった。

助けて欲しい!

誰が助けてくれるっていうの?
もう、終わったことなのに!
もう、帰ってこないのに!
神様なんて、あの時から信じることをやめたのに!
叫びも願いも懇願も、誰にも届かずに砕けて消える。ただそれだけ。

助けて

そんな言葉に頼ったって、一体誰が助けてなんて


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・

僕の中の不知(アンノウン)から、助けて欲しいと声がする。

それは、僕に、言ってるの?


(誰も助けてなんてくれないよ。)

(だったら、自分がやるしかないじゃないか。)









『もう、泣いてもいいだろうか』(MV)

世界はこんなにも、美しい。

呼吸をするたびに煌くものがあって、目を閉じればどこへでも行ける。

世界を感じた。

自分が世界の中にいて、自分が世界そのものと同調できる。

こんなにも簡単なこと。何も変わってない。
この世界は。
生まれた時から、生まれる前から、何も変わっていない。

それでも、世界はその姿を変えた。
ちがう。
ほんの少し、角度が変わっただけだ。
それだけ、ただ、それだけ。

もう、泣いてもいいだろうか。

その全てに気付いた時。偏った視界を捨て、世界の本当を見出した時。
それが旅の終わりで、これからの始まりだった。

「姉さん。」

吸い込む大気が、耳に拾う囁きが、目に映る全てが
優しくて残酷で醜くて美しい。
何も変わっていない世界が、新しい光で心を穿つ。

「姉さん。」

何も変わらない世界に、この涙をささげよう。
そしてそれが始まりの合図。
世界は変わっていくだろう。変える力がここにある。

恐れることはない。自分は世界の中に在るのだから。









『不快な塊』(MV)

何故って?そもそも美しくないじゃないか。チープな香料の香りに混じって仄かに土のそれがするのもいただけない。
だいたい、なんなのあれ?うにょうにょしてて、ぐにぐにしてて、うっすらと向こうが透けて見えて・・・。
途中で切れても再生するなんて、ありえないよね?そんな無駄な生命力、要らないでしょう。
時々大量発生してる所なんて、もうぞっとするんだけど。鳥肌モノだよ、笑い事じゃない!
ほら、今もあそこに・・・・って!こっち!こっち来ないで・・・ってジュリア!何をそんなにうきうきしてるのさ!このフィールドに居る分全部捕まえるなんて正気じゃないよ!
今はそんなことしてないで早く先に・・・
あっ!!穴に潜ったヤツに近づいたら・・・・!!






『闇でも影でもない。昏い色』(MV)


 私は彼の手をとった。私に向けて差し伸べられた手を。
でもこれは、比喩の話。
私達は、手を繋いだことなんてなかったから。


 彼の眼には深い悲しみと暗い失望と、それから僅かな高揚があった。それに気付いたのはごく最近のこと。ずっと密かに彼を追い続けて、彼のことを知りたくて。ようやく追いついた場所にあった色は、何故だろう。怖くて悲しいのに、私はとても綺麗だと思った。

 ねえ、ガナッシュ。このまま行けば。
ずっとずっと、堕ちていけば。
私と貴方は同じものになれる気がする。

 あんなに遠かった彼がこんなに近くにいて、まるで夢みたいにその眼に私を映して、私の名前を呼んで。そして、私に過去を語る。思いを綴る。そうしてようやく私は、理解することができた。私が知りたいと望んでいたことは、美しくもなく、格好良くもなく、ただの鋭利でほの暗い真実と、其れに切り刻まれた痛みだったのだと。
 彼はそれを私に晒して、薄く微笑んだ。懐かしむような目で。どこか、遠くを見つめる眼差しで。私には、その眼差しの意味が・・・、わからなかった。知りたくなんか、なかった。

 「行こう。キャンディ。」

 その言葉が、私にとっての全て。

 そう。全てだった。私は、彼と同じものになりたかった。少しでも傍に、近づきたかった。受け入れられて、安堵した。・・・嬉しかった。例え、彼が本当に見ているものが、私のずっと向こうなのだとしても。

 だって。好きだった。
 好きだったんだよ、ガナッシュ。

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 柔らかな触感は、馴染みのある、薄青色のシートだった。窓ガラスの向こうは砂と死の大地。フィルタがかったような思考は、くるくると回る。
「おはよう。キャンディ。」
柔らかな微笑みは担任の先生のもの。途端に、視界がクリアになった。
 そうだ。帰ってきたんだ。私は、こちら側に。
「気分はどう?怪我、痛む?」
先生の言葉は温かい。でも、もう私は知ってしまっている。彼を傷つけた鋭利でほの暗いものが、その奥にも横たわっていることを。全てのものに居ることを。・・・私の、中にも。
 それでも、先生は温かかった。悲しくないのに溢れてくる、零れてしまうものを抑えることができない私の頭を撫でてくれる、その手も。全部が、温かくて。
 私は、ここに帰ってきた。
 ひとりで、帰ってきてしまった。
 ごめん。ごめんなさい、ガナッシュ。
一緒に、行けなくて。連れて行けなくて。

 一緒に居たかった。ただそれだけだったのに。








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