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「イヤな展開になってきたな・・・」 絶え間なく、その包帯の巻かれた手で魔法を放ちながら、カシスは暗い表情で呟く。 「こうやって中に入ってきてるってことは、結界が破られたってこと?」 「そうなるな。」 侵入してきたファントムの数は予想よりも少なかったが、その不気味さと、特定の魔法しか効果がないという点で二人は滅入っていた。 「僕の薔薇はすり抜けちゃって効かなかったし・・・」 「ジュリアが言ってた、魔法が効かないってこういうことなんだな・・・・」 カシスの魔法も、怪我をしている左手で放たなければ効果はなく、そしてその負担によって、傷の痛みが増してくる。 「カシス、大丈夫?顔色悪いよ・・・・・・」 「大丈夫だ」 その時、二人のいるその部屋の扉が開かれた。そして。 「まだ居やがったか・・・。」 「ジュリア!!」 不機嫌さを隠そうともせずにジュリアが現れ、そのままその不機嫌さをぶつけるように続けざまに魔法を放ってファントムたちを全滅させた。 「お前ら、大丈夫か?」 「僕は大丈夫だよ」 「あぁ。大丈夫だ。」 取り敢えずは二人が元気そうなのを確認して、安堵するがジュリアはすぐに気まずそうな表情をする。 「悪い知らせがある。」 「救いようがないな」 一通り、話し終える頃にはすっかりと険悪な表情になっているカシスが呟いた 「まあ、俺の落ち度っちゃ落ち度だから仕方ないんだけどな。」 「ねぇ、これはもうさ、先生に報告したほうがいいと思うんだよね・・・・。 僕らの手に負える範囲を超えてると思うよ」 「そうだな・・・。 忙しくしてるところを悪いとは思うが、放って置いてもいずれ何かしかねないだろ。」 シードルの意見に、カシスも賛同する。 けれど、ジュリアは一人、難しい顔で、きっぱりと言った。 「それは出来ない」 「なんで!?」 「家宝は諦めるのか?」 「・・・・。」 ジュリアは口を真一文字に結んで、じっと二人の顔を値踏みするように見る。 腕まで組んで、こんな大真面目なジュリアは滅多に見られるものではない。 「黙ってたらわからないよ」 「・・・どうかしたのか?」 ジュリアは据わった目で、す、と床を見る。 「言いにくいことだ。お前ら、このことは絶対に口外するなよ」 「珍しく弱気だね・・・。」 その珍しさにいささかわくわくするものもあるのだが、一方で、何か不吉だ。 ジュリアは重い口を嫌そうに、開く。 「ヤツが持っていった燭台だが、あれは正規のルートで手に入れたものじゃ、ない。 国家の中枢と繋がってる魔法学校の連中にその存在を知られるわけにはいかない。 それが校長だろうが担任だろうが・・・・」 「それってつまり」 「裏のルートか?」 「平たく言えばな。」 「何でそんなものを家宝にするのさ・・・・」 「家宝になる価値があるからに決まってんだろ」 「・・・・。」 いっそ開き直っているようにも見えるジュリアと、絶句するシードル。 「救いようがないな」 カシスはもう一度言った。 「とゆーわけで、お前は留守番だシードル!」 「そんなに何度も言わなくても、わかったったら!早く行きなよ。」 これ以上ややこしいことになって欲しくない、というジュリアの意見で、シードルは留守番をすることになった。 本人は不服なようだが、ジュリアの頑固さは最強である。 「んじゃー、アンジェリカ、シードルの相手頼むな。」 「お任せください。ご心配なく。」 「・・・二人で大丈夫なのか・・・?」 「何人だろうが俺がいれば問題ない。カシス、お前はオマケだ。」 「・・・あぁ、そうかよ。」 なめくさったような軽装備で、翌日の夕方、カシスとジュリアの二人は例の館目指して出発した。 それを見送ってシードルはため息をつく 「本当に、大丈夫かなぁ・・・。」 「心配ですね。あなたの気持ちはわかります。 ・・・それはそうと、シードル様、こちらへ来ていただけませんか。」 「・・・・?」 アンジェリカに導かれるまま、コメット家の広い敷地内を更に奥へ、奥へと進む。 そして。 「ここに立っていただけますか。」 「???」 アンジェリカは自分のすぐ横の地面を、指す。 「私は、貴方をお兄様の友人として信頼します。」 指示通りにそうすると、アンジェリカはしっかりとシードルの目を見つめてそう言い、 それからほぼ同時に地面に魔方陣が浮かび上がる そして、シードルは自分が全く違う場所にいることに気がついた。 窓も何もない空間は薄暗く、大小さまざまな無機質な物体が並び、そしてそれらのいくつかは発光し、不十分ながら部屋の明かりとなっている。 「ここは・・・・。」 「私の情報管理室です。私の持つ情報はここで処理されます」 シードルは注意深く辺りを見渡す 「・・・これは・・・古代機械・・・?」 その形状、質感に見覚えがある。感じるままにシードルは呟いた。 暗がりの中で、アンジェリカは小さく笑う 「そうですね。古の知恵を、貸させて頂きました。」 それは要するに、古代機械を自分用に改造した、という事なのだろう。 低い電子音と共に、宙に光るディスプレイが現れる。 その技術に驚いたシードルが何か言おうとアンジェリカを振り返るが、アンジェリカはそのディスプレイを注視し、発言を許さないような雰囲気を醸していたので結局何も言わずにそれに倣うと。 カタカタという無機質な音と共に、光る画面に文字が表れ始める。 アンジェリカはその様子を満足げに眺め シードルに向き直る。 「良いですか・・・。 この事を、しっかりと覚えていてください。」 アンジェリカは微笑んだ。 つづく。 前へ/戻る/次へ ・独り言・ 家宝求めて三千里(違) 燭台が家宝なコメット家。ちょっとこれは無理矢理か(苦笑) アンジェリカの秘密の部屋がなんかハイテク(死語?)ですねぇ・・・・ ところで燭台っていう言葉をこのパソコンは知らないのかも。 変換してくれない・・・ |
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