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「シードル=レインボウ」 呼んだ。静かにその名を呼んだ。彼は静かに振り返った。赤味の強い紫の、不遜な瞳に自分が映る。 このタイミングでこの心境で、彼の名前を呼ぶその日が、まさか来るなんて思ってなかった 彼はクラスメイトで年下で、その振る舞いや雰囲気から、育ちのいいことは窺い知れた。 けれどそれ以外のことは知らない。 知ろうとすれば、他にも知り得ることは山ほどあったはずだ。 しかしそうはしなかった。興味がなかったからだ。 同性であり、接点はクラスメイトという他には面白い位に無く、そしてお互いに真逆の性質を持つ人間。 触れるには遠いその存在を知ろうとする程には、カシスは好奇心旺盛でも、積極的でもなかった。 けれどそれももう終わりだ。 「シードル。 ・・・・お前に、頼みがある」 その眼が不審に細められる。カシスは重くなる気持ちを吐き出さんとため息を吐くが 案の定何も変わりはしなかった。 「コイツが、どうかしたのか?」 机の上に投げ出された、同じ人物を中心に映し出された数枚の写真のうち、一枚をカシスは手に取る。 「詐欺師だ」 「へぇ、詐欺師?」 空いたもう一方の手でもう一枚、写真を手に取った。左右を見比べる。 「そいつと接触する必要がある。その手段について作戦を練っている最中、というワケだ。」 「・・・難しそうか?」 「そうだな・・・。相手は、表社会に身を隠してやがるからな。」 「表社会に、隠れる場所なんかあるのか?」 意外だな、とカシスは笑う。 「ともかく・・・。今回の仕事は、表とのつながりが、要る」 しかも、かなり上位の。 「・・・で?そのとばっちりが、僕に来るの?」 馬鹿馬鹿しい、と感情を隠そうともせずにシードルは呆れてみせた。 シードル自身、一介の学生であり画家であり、それほど社会的地位が低くはなく高いわけでもないが、 社交界でのその顔の広さが、要る。 シードルのことは本当に、一切をもって知らなかったカシスだけれども、調べてみて驚かされた。 本当に、真逆で、対極だ。 「要するに、僕がこの人と、君達の仲介をすればいいんだよね。」 厳しい表情で、次々とルーチンワークのように写真に目を通すシードル。 最後まで目を通して、とんとんとその束を揃えたあとで、シードルは改めてカシスを見る。 不機嫌そうに眉を寄せて。 カシスは表面上、無表情をつくっていたけれども、内心かなりはらはらしていた。 「・・・いいよ。やってみる。」 シードルはため息混じりにそう言った。それから、もう一度、写真の束の一番上の一枚を見る。 「ちょうど僕も、この人が嫌いになってきたところだし。」 憎々しげに付け足された言葉に、カシスはシードルの不快が、その人に向けられたものであることに気づいた。 「・・・何か騙されでもしたのか?」 「・・・・。」 鼻で笑われた。 シードルは、写真をカシスに返す。 「写真なんか無くても、僕は嫌でも知ってるからね。その顔。」 「そっか。それじゃあ、まあ・・・。よろしく頼むぜ。」 カシスは、そういって手を差し出した。シードルはそれをまじまじと見つめて。 ようやく、笑顔らしい笑顔を見せて、笑う。 「こちらこそ。」 二人は、握手を交わした。 握った手はひんやりとして心地よく、 手の冷たい人は心が温かい、なんて柄にもないことを思い出して 馬鹿馬鹿しい、とすぐに打ち消した。 戻る ・独り言・ 短いって素敵☆(コラ) 続くかもしれない。続かないかもしれない。微妙。 だいぶ捏造が激しいですね。ある意味パロかも。 社会の裏とか表とか・・・私には分かりません(汗) 取りあえず二人に、同盟組ませたかったんです。 せめてもっと詳しければ、楽に続きが書けるのに。 |
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